Sarah・Sze (サラ・ジー)

大学院1年 空間演出デザインコース 内田久美子


●選んだ理由
私は住環境のデザインを研究テーマとしてる。フィンランドに留学中は家具デザイン科に属し、家具のデザインを1年間学んできた。一般に「家具」というと椅子やテーブルや本棚などを思い浮かべるが、私は家具とは「住環境を支える道具たち」すべてを指したいと考えている。つまり「家の道具」=「家具」と考える。例えば、ドアノブだって家具だし、お風呂だって家具だし、壁だって家具である。パジャマも家具かもしれない。それはつまるところ建築だと言われるかもしれないが、私はあまり建築物自体の全体の立体感に興味はなく、視点を常に内側から発し、自分の身体を中心にその周辺から考えることが好きだ。江戸時代、平屋から平屋に引っ越すときは、荷台に障子などの建具まですべて積んで、すべてをすっからかんにして引っ越しをしたそうだ。よく日本は「見立ての文化」だと言われるが、何もない空間に用事にあった道具を設えると無数の部屋をひとつの部屋で再現することができる。わたしは家具を考えるとき、そのものが自己主張せず、空間にとけ込むことを目指している。空間と物体との接点をいつも意識している。そんなことを日々考えているので、「たくさんのものたちの秩序によって全体が構成される」という点で共感をもった、現代アーティスト「サラ・ジー」の作品を今回はとりあげたいと思う。


ーサラ・ジーのメゾン・エルメスでの展示ー
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●Tokyo Art Beatでのサラ・ジーのメゾン・エルメスでの展示の紹介内容
http://www.tokyoartbeat.com/event/2008/5A4D


●メゾン・エルメス展示でのフライヤーに載っていた評論が面白かったので、抜粋しました。

蝶のはばたきーサラ・ジーがプログラムを始動するとき/長谷川裕子(東京都現代美術館 事業企画課長)
 サラ・ジーの作品を見て、まず思うのはカオス理論から見た世界の姿である。
カオス理論では初期の小さな要素が大きな現象に影響を及ぼす。ジーの作品においては、極小ものが集積されてそれが集合となり、大きなものがつくられていく過程と、初期と最後のコントラストが大きいー作品を構成するマテリアルの情報や存在の意味は、関係づけられるスケールフレームによってかわっていく。
 作品において、個々のマテリアル(モノ)の見え方はほぼ無限と言っていいほど変化する。モノ自体は自分の存在を主張しない。見る者はスーパーやホームセンターで簡単に手に入るものーマッチやティッシュ、ロープ、ひも、糸、ワイヤー、ムシピン、洗濯バサミ、スポンジ、型取られた発砲スチロール、プラスティック容器や人工芝の断片、水槽、色鮮やかなクランプ、扇風機、アームつきランプ、台車などが圧倒的な量で集積され、配列され、多様な形で組み合わされ、つなぎあわされているのを見て、そのシークエンスから目がはなせなくなる。それらは身の回りに溢れているありふれた物であり、所有者の個性を反映しない匿名的なものばかりである。それらはマスプロダクツの産物であり、我々をとりまく環境の一部となっているモノでもある。絵画と建築を学んだジーは、マテリアルの選択においてフォームや色彩、光などを基準に決めるという。彼女はこれらを組み替える事でモノに対する新たな視点を与えるのであるが、それはいわゆるファウンド・オブジェクトのコラージュや日用品のコンテクストの置き換え、よくあるゴミ系のゲル状のアキュミレーションとも異なる。一つ一つの形はもとの機能性や意味をきちんととどめたままで、彼女の作る宇宙の秩序に参加している。一つ一つは力学的世界観によって記述されるような受動的な物質ではなく、自発的な活動を伴う物質として見ることができる。それは、自然界を掌る多くの基本法則は不可逆で確率論的であり、要素的な相互作用を記述する決定論的で可逆な法則ではないという、新たな法則から導かれた物質である。
 文法と直感のバランスはスケールの規模にあわせて交互に現れ、組み合わされているかにみえる。細部においてナラティヴな要素も看取できる。ジーは「本来は価値のない、また没個性的なものに対して、あえてそこで物語を積み重ね、ナラティヴを重ねていく事でそこに価値を生み出せ、そして何かの重みを出す事」が大切と語る。彼女の作品についてよく使われる描写は、ライフラインをもった生態系にみたてた都市のモデルとか、マクロレヴルでとらえた新陳代謝する細胞のモデルである。それらは固定したフォームの相似性というより、都市機能や生命活動といった動的なプログラムの類似においてとらえられる。ジーの作品はカオティックとよく表現されるが、ごちゃまぜの混沌ということではなく、全ての細部が秩序をもち、不可逆的で確率的によって変化しているカオス理論の世界論と類似している。
 カオス理論は混沌からの秩序を説明する為の、科学と数学の融合であるため、世界を秩序づける語法において秀でている。カオス関係の専門用語には独特の幾何学的な雰囲気が漂っている。位相空間、軌道、流れ、写像、湧き出し、流れ出し、鞍点、吸引子(アトラクター)、分岐、からまり、周期倍分岐などがそれで、これらの用語は不思議なほどにジーの作品を記述するのに適している。
 建築家を父とし、公共空間を見てはそこで何を展開できるかを絶えず考えているこどもだった彼女は、中と外をつなげる、あるいは重力から逃走しようとする、3次元空間だけでなく、時間的なプログラムがその中にみえてくるような多元的な「建築」をインスタレーションの形でつくろうとしているかに見える。
 

ー東京都現代美術館「トランスフォーメーション展」 出品ー

●Tokyo Art Beatでの東京都現代美術館「トランスフォーメーション展」の紹介
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2010/12/tokyo-art-meeting-transformation.html


●東京都現代美術館「トランスフォーメーション展」インタビュー映像

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Alex Katz(アレックス・カッツ) 

書記のウチダです。先週の授業について。

アレックス・カッツ ー 1950年代 平面、人物を描いてる作家
(wiki →アレックス・カッツ)

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● 今回発表者がこの作家を取り上げた理由
普段はわりと作家個人の主張、言いたいことがはっきりした作家が好きだが、この作家は突き放した印象が強く、対象の内面、人物が何を考えているのか伝わらないような印象をうける表現をしていてその人の表面だけをとらえているように見える。がしかし、なぜか絵画全体からあたたかさを感じるので、自分とは人物の捉え方が違ったため興味を持ち、取り上げた。

・ポップアートの時代
・ウォーホールなどとは一線を画す。
 →ポップアートは大量生産されるものをモチーフにいているイメージが大きくて、一方カッツは個人的なモチーフであり、それが異なる。
・ニューヨークで描く。
・身近な人を描いている。
・イラストっぽい。
・アメリカっぽい。NY的。


● 関連する人物
・Edward Hopper(エドワード・ホッパー)
・Georgia O'Keeffe(ジョージア・オキーフ)
・Woody Allen(ウッディ・アレン)


● 描いているときの早さについて
・何も考えずに描いているよう。
・考えるよりも早く描く。
・記憶することよりも忘れる、排除することを大切にしているひとたち。

即興絵画、即興音楽はずべて作品になりえるのか。
絵画として残すときはいつなのか。いつ完成なのか。
即興絵画か否かは、それにかける時間で決まるのではなく、脳よりも身体性を重視して描かれたか否かによって決まる。という考え方もある。

トーマス・ルフ(Thomas Ruff)/担当:西川

テーマ:「見えなものが見える/行けなかった場所に行ける時代になって、変化したscale感」


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トーマス・ルフ(Thomas Ruff)はsternシリーズで実際に肉眼では見ることのできない星の画像を、特殊な望遠鏡で観察し、写真を撮影している。その作品は科学の進歩によって人間の体感できる距離が変化してきていることを表現している。このように、科学技術の進歩によって過去に人々が感じていた距離・時間の感覚と現代の人々が感じるそれは大きく変化してきている。

例えば・・・
*移動手段の発達によって旅行を行うのにかつて必要だった時間は大幅に削減された。また、現代は情報の速度が格段に早くなっている。それにより、かつての人々が体感していた時間の流れと現代に生きる人々の時間の流れにはどのような変化が起こっただろうか?
*インターネットの出現により、現代では実際に店舗に出向かなくても買い物を楽しめたり、音楽の購入方法が変わってきた。このようにデジタル化が進むことにより時間・空間に関する感覚にどのような変化が起こっただろうか?

次回の授業では彼の作品をきっかけに、このような時間と空間のscaleについてディスカッションを行いたい。


※参考
http://www.arttowermito.or.jp/art/uchunotabij.html

http://www.kalons.net/index.php?option=com_content&view=article&id=1179&catid=&lang=ja
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